6. まとめた時間に集中して仕事をする

 時間管理を実行することで、自由になる時間を確保し、それをひとまとめにすることができた。次に、このひとまとめにした時間に、優先順位の高い仕事を割り当て、自分の強みを生かしつつ、集中して仕事をする。すなわち、目標を達成する上で、最後に重要になるのがこの「集中」だ。

 ここでポイントになるのが、優先順位の高い仕事をどう決めるかだ。いつも忙しそうにしている割に、なかなか成果が上がらない人は、仕事の優先順位に無頓着で、優先順位の低い仕事に振り回されているケースが多いようだ。ドラッカーは、仕事の優先順位を決めるのに、生産的でなくなったもの、古くさくなったものを捨て去ることを強く勧めている。

 具体的な手法はこうだ。まず、現在行っていることを実行していないと仮定し、いまからでも実行するかを検討する。そして、いまからは実行しないと結論づけたものについては、即座に廃止するのだ。これを実行することで、すでに役目を終えた非生産的な仕事、無駄な仕事をしなくて済む。

 次に実行するのが、残った生産的仕事について優先順位を決める作業だ。優先順位を決めるにあたっては、次の4点を基準にすべしと、ドラッカーは指摘する*5。


①過去でなく未来を選べ。

②問題ではなく機会に焦点を合わせよ。

③横並びではなく独自に方向を決めよ。

④無難で容易なものではなく、変革をもたらすものに焦点を合わせよ。


 これらを念頭に、自分の仕事に優先順位を付ける。その上で、ひとまとめにした時間に、優先順位の高い仕事を強制的に割り振るわけだ。そして、「成果を上げるエグゼクティブは、最も重要なことから始め、しかも、一時に一つのことだけを行なう*6」とドラッカーが言うように、一時に一つのことに集中し、優先順位の高い仕事から順に、一つ一つこなしていくのだ。

 以上がドラッカー流・自分マネジメントの概要だ。とまとめると、図2のようになるだろう。ドラッカーは、『経営者の条件』の締めくくりで、「成果を上げることは、修得はできるが、教わることはできない。つまるところ、成果をあげることは、教科ではなく自己修練である」と指摘している。言い換えるならば、目標管理、強みの分析、時間管理、集中を、自己修練として自分に課すことが、成果を上げる人になるための道なのだ。

 最後に私ごとながら、先頃ドラッカーの自分マネジメント術を日常の業務に応用するための著作『なぜ、31歳でアイツは部長になれたのか?』(2007年7月、ソシム)を出版した。本稿に興味を持たれた方は一読をお勧めしたい。


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参考文献

*1ドラッカー「新訳 現代の経営(上)」(1996年、ダイヤモンド社)P188

*2ドラッカー「マネジメント(下)」(1974年、ダイヤモンド社)P106

*3ドラッカー「明日を支配するもの」(1999年、ダイヤモンド社)P220

*4ドラッカー「新訳 経営者の条件」(1995年、ダイヤモンド社)P34

*5ドラッカー「新訳 経営者の条件」(1995年、ダイヤモンド社)P150

*6ドラッカー「新訳 経営者の条件」(1995年、ダイヤモンド社)P230


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© Akira Nakano pcatwork.com 1999~2009