2007-11-17
リアルとバーチャルの不思議な使い分け

 ある通信会社の中期経営戦略を見ていたら、ちょっと気になる言い回しを発見しました。

「リアルとサイバーの融合」がそれです。

 その会社の説明によると、クレジットカード情報やカメラ、GPSの「リアル情報」と、WEBや企業データベースなどのサイバー情報を結びつけて・・・云々ということだそうです。

 ここでのサイバーとはたぶん、「オンライン上」のような使われ方がされていると思うんですが、果たしてオンライン上で起こることは、リアルの対立概念に位置づけられるのでしょうか。

 これよりもさらに気になるのが、リアル(現実)とバーチャル(仮想)の使い分けです。一般的には、ネット以前からある生活空間がリアルで、ネット上での行為はバーチャルととらえられてきました。

 しかし、現実の生活空間にも仮想はあふれています。空想の世界を題材にした小説は仮想の代表例でしょうし、ディズニーランドはある意味で仮想空間です。

 一方、インターネット上にも現実はあふれています。企業のホームページがネット上にあるからといって、それを仮想だと言う人はいないでしょう。同様にメールでのやりとりは仮想だとする人も皆無に違いありません。いずれも現実です。

 したがって、従来型生活空間=リアル、インターネット=バーチャルという極めて単純な二元論は大きな間違いです。従来の生活空間にもインターネットにも現実と仮想が折り交ざっている、と考えなければなりません。

 では、従来の生活空間とインターネットの違いは何でしょう。難しく考える必要はありません。オフラインとオンラインという言葉をあてはめれば問題解決です。そして、「現実と仮想」「オンラインとオフライン」という2軸を使って説明すると、従来型生活空間やインターネットで起きている出来事をとらえやすくなります。

 例えば、家族や近所、会社におけるフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションは「現実×オフライン」として捉えられます。また、先に掲げた小説やディズニーランドなどは「仮想×オフライン」の象限にプロットできるでしょう。さらに、ネット上で展開されているオンラインゲームは「仮想×オンライン」の典型でしょう。そして、家族や会社での会話にメールを利用すれば、これは「現実×オンライン」におけるコミュニケーションということになります(図参照)。

 このように、まず、「現実と仮想」「オンラインとオフライン」で考えると、従来型生活空間=リアル、インターネット=バーチャルという大間違いに陥らずに済むのではないでしょうか。


© Akira Nakano pcatwork.com 1999~2011