2008-7-7
『冒険王・横尾忠則』展で体験した「あっ、この場所知ってる」
先週の火曜日、兵庫県立美術館で開催中の『冒険王・横尾忠則』展に行ってきました(写真1)。東京では開催済みですから、すでに見た、という方も大勢いらっしゃるはずです。
話は変わりますが、ルドルフ・シュタイナーという20世紀初頭に活躍したオーストリア生まれの思想家がいます。シュタイナーの本は、イザラ書房という出版社から多数でているのですが、その中に高橋巌さん翻訳による『シュタイナー選集』があります。
このシュタイナー選集の装丁を手掛けているのが横尾忠則さんです。また各巻向けに横尾さんが描き下ろした(?)と思われる絵画が箱の表紙や書籍カバーに用いられています(写真2)。
実はわたしは、この絵画のオリジナルが展覧会で見られるのではないかと期待しつつ、会場に足を運びました。
結果から先に書くと、期待は裏切られました。しかし、期待とは別の驚きがありました。
近年横尾さんは、「Y字路シリーズ」なるものに取り組まれているそうです(会場をあとにした後、カタログの記載されていた荒俣宏さんの解説で知りました)。
このY字路シリーズの中に「下田幻想」という作品がありました。この作品の前に立ったときのことです。
わたしは、
「あっ、この場所知ってる」
と、絵に見入ってしまいました。
絵には、Y字路に建つ貧相な建物とそこに掲示された看板が描かれています。看板には「下田仏壇センター」の文字が見えます。ここは確かに、伊豆の下田、伊豆急下田駅から柿崎に向かう途中にある場所に違いありません。
わたしはここをバスで1度、徒歩で3度通りました。この場所で道の向こうに渡りたかったわたしは、交通量が結構多くなかなか渡れなかったことも記憶しています。また、近くに宿泊施設の紹介場があったようにも思います。
ちなみに、事務所に帰ったあと、グーグルマップで調べると、やはりわたしの記憶は正しかったようです。地図を拡大してY字路の個所を確認してみてください。
しかし不思議なものです。普通Y字路なんて、あまりにありふれたものなので気にも留めていません。しかし、これが横尾さんの手に掛かると現実との奇妙なズレ、そのために起こる不安感みたいなものを感じるのですから。しかも今回の奇妙な出会いです。
たわいのない話なのですが、わたしにとっては忘れられない体験になりました。
